試作開発では、製品の性能や機能に注目が集まりがちです。
しかし実際には、設計した形状が「作れる形状なのか」を確認することも同じくらい重要です。
CAD上では問題なく見える形状でも、実際の成形工程では様々な問題が発生することがあります。こうした製造上の問題を事前に確認することが、「成立性検討」です。
試作開発で起こりやすい問題
試作開発では設計変更が頻繁に発生します。限られた期間の中で性能評価・強度評価・組付け確認・外観確認を繰り返す必要があるため、設計者は製品性能を優先し、製造方法の検討が後回しになることも少なくありません。
結果として、型製作開始後に以下のような問題が発覚することがあります。
- 型から離型できない
- プリプレグが貼れない
- 真空バッグが施工できない
- 型構造が複雑になりすぎる
問題発覚のタイミングが遅いほど損失は大きい
成立性の問題は、発見が遅れるほど影響が大きくなります。
| 発覚タイミング | 対応内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 型製作前の検討段階 | 形状変更の提案・型構造の見直し | ◎ 最小 |
| 型製作中 | モデル修正・NCデータ修正・型改造 | △ 中程度 |
| 型完成後・成形前 | 型の改造または再製作 | ✕ 大きい |
| 成形後 | 型再製作+納期遅延+追加費用 | ✕✕ 最大 |
型製作前の数時間の検討が、後工程での数十時間から数百時間の手戻りを防ぐことは現場では珍しくありません。
成立性検討で何をするのか
成立性検討では「できる・できない」の判断だけでなく、解決策の提案まで行います。
抜き勾配の追加 :離型性を確保するため、縦壁部分に微小な勾配を追加します。外観に影響しない範囲での対応が基本です。
コーナーRの拡大 :積層作業性と繊維品質を確保するため、角部のRを拡大します。内側Rが小さいほど繊維が浮きやすくなるため、設計段階での設定が重要です。
製品の分割 :そのままでは成形できない形状を複数のパーツに分割し、成形後に接着することで製品として成立させる方法です。アンダーカットが深い形状や複雑なダクト形状で有効な選択肢です。
形状の簡素化 :機能を損なわない範囲で内部形状を整理し、積層作業性・真空バッグ施工性を改善します。
これらはあくまで選択肢の提案であり、最終的な判断はお客様に委ねています。
成立性検討はコスト削減だけではない
成立性検討というとコスト削減のための活動と思われることがありますが、実際には品質向上・納期短縮・手戻り防止・リスク低減にも大きく関係しています。
試作開発では「予定日に良品が完成すること」そのものが重要な価値です。
当社が考える成立設計(DFM)
当社では型製作の前段階で成立性を確認し、必要に応じて形状や型構造のご提案を行っています。
試作開発において重要なのは「図面通りに型を作ること」ではなく、「予定通りに良品を完成させること」だと考えています。
そのために私たちは、
「成立させてから、型を作る。」
という考え方を大切にしています。
お問い合わせ
「この形状は成形できるのか」「型は何分割になるのか」「もっと製作しやすい方法はないか」
そのような段階からお気軽にご相談ください。
