パールボードとアルティボードFSの違い

CFRPオートクレーブ成形用型に使用されるけい酸カルシウム系(ゾノトライト系を含む)の代表的な材料として、「パールボード(ノリタケ)」と「アルティボードFS(日本インシュレーション)」があります。以下、アルティボードFSを「アルティボード」と表記します。

どちらも耐熱性や加工性に優れ、試作開発用型として広く使用されていますが、それぞれ異なる特徴を持っています。

当社では両材料を実際の型製作で使用しており、その経験をもとに特徴と使い分けの考え方を整理しました。

パールボードの特徴

パールボードの最大の特徴は、優れた寸法安定性と表面の緻密さです。

オートクレーブ成形用型では、加熱・冷却サイクルを繰り返す環境で寸法変化を抑えることが重要です。

パールボードは耐熱温度(約150℃以下)、熱膨張係数が6.5×10⁻⁶ mm/mm・℃と低く、寸法安定性に優れた材料として多くの試作開発現場で採用されています。

表面が比較的緻密なため、コーティング後の光沢仕上げに有利で、高品位な型表面を作りやすいことも特徴の一つです。

切削性は良好ですが、材料内部の樹脂含有量のバランスにより、加工条件の設定に経験と調整が必要な場面があります。

また、全体的に密度が高い傾向がありますが、使用条件によっては内部に起因した問題が発生するケースが稀にあります。

アルティボードFSの特徴

アルティボードの最大の特徴は、エッジ部の再現性と、材料の追従性の良さです。

シャープな稜線や細かいリブ形状が求められる型との相性が良く、複雑形状のCFRP部品を成形するための型に適しています。

標準定尺サイズは1020×1540×50mmですが、最大1,020×3,080×50mmの大判サイズがある為、パールボードと比べて大型型を製作する際に接着箇所を減らすことができます。

接着部の強度や段差が懸念される大型部品向けの型において、有効な選択肢となります。

切削性は非常に良好で、当社使用実感として加工コストがやや有利になる傾向があります。

内部密度が均一なため、加工後の安定性も高く、品質の再現性が取りやすい材料です。

パールボードとアルティボードの比較

項目パールボードアルティボード
寸法安定性
表面の緻密さ
エッジ再現性
大型型への対応
定尺サイズ1,230×930mm(カタログ値)1,020×3,080mm(大判サイズ)
切削性
内部密度の均一性

実際の選定について

パールボードとアルティボードはどちらか一方が優れているというものではなく、製品形状・サイズ・要求精度・納期・コストなどによって最適な選択が変わります。

当社では長年の型製作経験をもとに、案件ごとに材料特性を考慮した選定を行っています。

迷われている場合は、お気軽にご相談ください。製品形状や用途から最適な材料をご提案します。

表面処理との組み合わせについて

いずれの材料も、けい酸カルシウム系ボードとしての特性を最大限に引き出すためには、適切な表面処理が不可欠です。

コーティング樹脂の種類・加熱条件・研磨工程の組み合わせによって、型の寸法安定性・耐久性・離型性は大きく変わります。

当社ではこれらの表面処理工程についても継続的に研究・改善を行っており、その内容は別記事「CFRPオートクレーブ成形用型の表面処理について」で解説しています。

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